お伝えしたい3つのこと
(1)アクティブ・ラーニングで子どもの生きる力を育てる
(2)紙芝居でコミュニケーション力を養う
(3)紙芝居あそびで心の力を育てよう
「学習指導要領」は10年周期で改訂されますが、前回は2017年~2018年に行われました。
その改訂には、次のようなメッセージが込められています。
(1)これからの社会がどんなに変化して予測困難な時代になっても、自ら課題を見つけ、自ら学び、自ら考え、判断して行動する。
(2)子どもたちに「生きる力」を育む。「生きる力 学びの、その先へ」
(3)子どもたちが自分で考え、対話しながら学べることを目指す。
(4)学んだことを人生や社会に生かそうとする「学びに向かう力、人間性を磨く」
(5)偏差値を上げるためではなく、実社会で使う知識や技能を身につける。
(6)未知の状況にも対応できる思考力、判断力、表現力を育てる。
「何を学ぶか」だけではなく、「どのように学ぶか」を重視して、子どもたちが主体性をもって対話しながら学ぶ「アクティブ・ラーニング」を導入する。
★ひとつひとつの知識がつながって「わかった!」「おもしろい!」となる授業。
★周りの人たちと共に考え、学んで、新しい発見や豊かな発想が生まれる授業。
★自分の学びを振り返り、次に生かす力を育む授業。
重視する項目のなかには、次のような目標が掲げられています。
「言語能力の育成」
国語を要として、全ての教化で子どもたちの言葉の力を育む。
「伝統や文化に関する教育」
我が国や郷土が育んできた日本の伝統や文化を学ぶ。
「主権者教育」
社会を生き抜く力、地域の課題を社会の一員として解決する力を身につける。
1967年に文部省が「教材10ヵ年計画」で教材基準の改定を行って、紙芝居は小学校の教材から外されました。そのため、紙芝居は、保育園や幼稚園で幼児向けの教材として、あるいは図書館で貸し出される蔵書として、命脈を保っています。
時は移り、大道芸を表現者として再評価する動きが起こったように、すっかり姿を消してしまった街頭紙芝居屋へのノスタルジーとも相まって、数少ない紙芝居屋はイベントにひっぱりだこです。
イベントで演じることが多いので、「エンタメ紙芝居」と呼ばれることもありますが、かつての「黄金バット」に代表されるような「飴売り行商人の街頭紙芝居屋」のおまけ的な紙芝居ではなく、子どもたちへの教育的な影響にも配慮した内容のものになっています。
全てがスピードアップして忙しくなっている時代に、ローテクな紙芝居は子どもたちの心が成長するためのゆったりしたリズムに合う児童文化として、再評価されています。また、生きる力になる「非認知能力」を養うことができると言われます。
子どもが成長過程で獲得する能力は「認知能力」と「非認知能力」に分けられます。
「認知能力」は、読み書きや計算、記憶などIQで測れるような能力です。
「非認知能力」は、「社会情動的スキル」とも呼ばれ、子どもたちが実体験することで生まれる能力です。
「社会情動的スキル」は、アメリカの経済学者ジェームズ・J・ヘックマン氏の言葉です。
感情の動きを人とのコミュニケーションに活かす力、「思いやり」「自信」「忍耐力」など、他者とコミュニケーションがとりやすくする力で、集団の中でも、個人としての充実を感じながら、スムーズに生きていきやすくなるスキルと定義されています。
子どもの幼児期の環境を豊かにすることが、将来的な成功をもたらす大きな要因になるという見解が「経済効率の視点」から語られています。混沌とした時代を柔軟に生きていくスキルと考えられています。
紙芝居はアニメのような動画ではなく、静止している絵を使うことで、演者が語りを自由にアレンジできますし、生で語りかけることで、聞き手の心を動かし、作品の持つ喜怒哀楽を共有できるのです。
紙芝居は、校外教育に適していると言われます。
「普及のしやすさ」
演じるための高い技術を必要としない。
経済的な負担が大きくない。
いつでもどこでも演じることができる。
「伝えやすさ」
単純明快に表現された「絵」を使って、観客の反応を見ながら、言葉を選ぶなど自由にアレンジできる。
「おもしろくてわかりやすい」
ハラハラドキドキの展開で、観客は熱心に聞くようになる。
子どもが自ら紙芝居を作って、演じることが「生きる力」を育むためには、より有効になりますが、それは紙芝居という楽しいどうぐを使う「あそび」でなければなりません。「紙芝居あそび」で、次のような力を身につけていくのです。
(1) 「自己に関わる心の力」
自分を大切にし、感情を適度にコントロールでき、自己を高めようとする力
自尊心や自信、自己肯定感「きっとできる」と思える自己効力感
(2)「社会性に関わる心の力」
他の人を信頼し、うまくやっていくための力(協調性や思いやり)
自分が楽しめること、幸せに思えることを見つけていくと同時に他の人にもその気持ちがあることを認め合い、共鳴していく
おもしろい「場」の空気を創りだす(仲間と時間を共有した風景は残る)
集団の一体化の心地よさ(共通の思い出や価値を分かち合う経験)
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