お伝えしたい3つのこと
(1)絵本ではひとりで物語りの世界に入り込む
(2)童話では言葉で綴られた世界を旅する
(3)紙芝居では他の人と共感できる場を持つ
図書館で紙芝居を探すと子ども向けの図書コーナーに置いてあります。絵本、童話と同じように、紙芝居は子どもを対象にした図書のジャンルに属するものとして、認識されているのです。
絵本は、「絵」が主役で、見開きの場面ごとに構成される視覚的な芸術で、書かれている文字や文章は、役割としては脇役です。
童話には、物語りへの興味をそそる「挿し絵」が描かれていますが、あくまで「言葉」で綴られているので、小説の子ども向けバージョンと言われます。
童話には、昔ばなしや民話を題材にした「おとぎ話」があります。室町時代から江戸時代にかけて、将軍や大名は、書物の解釈、武辺談や政治談などを語って聞かせる「御伽衆(おとぎしゅう)」という側近を従えていました。もっとも多くの御伽衆を抱えていたのは、豊臣秀吉と言われます。もともとは、御伽噺は、大人が耳を傾ける説話だったのです。
室町時代から江戸時代までの御伽話を集めた御伽草子(おとぎぞうし)には、400を超える話が載せられていたそうですが、後々まで語り継がれるのは100程度で、代表的なものは「一寸法師」「鉢かつぎ」「浦島太郎」「ものぐさ太郎」などです。
1536年から1615年の慶長年間には、御伽衆の話を編集した「戯言養気集(ぎげんようきしゅう)」が編纂されて、その話が庶民の間に広まって、講談や落語の源になったと言われています。
現在まで伝わっているなかで、五大おとぎ話と言われるのは、「桃太郎」「さるかに合戦」「花咲かじいさん」「かちかち山」「したきりすずめ」です。
絵本は、ひとりで読みながら、そこに描かれている世界に自分を没入していくことができるもの、そして紙芝居は、ひとりの語り手と複数の聞き手の間に「共感」の世界を作り出すものとして紹介していますが、絵本を子どもたちに読み聞かせる場合には、同じように「共感」を大切にしています。
縦書きの絵本では、本文が右のページから左のページへ読み進められることから、描かれる絵の展開も右から左へ、例えば登場人物は右から左向きに進んでいくことが自然な姿です。紙芝居も観客から見て絵を左に抜いていくので、進行の展開は縦書きの絵本と同じです。
童話では、場面数を気にかける必要はありませんが、絵本や紙芝居では、場面数(絵の枚数)に応じて、物語りの展開を考えなければなりません。
プレゼンテーションでは、あれもこれもと伝えたいことを羅列するだけでは、「何が言いたいの?」となってしまいます。伝えたいことに優先順位をつけて、相手が関心をもって聞いてくれるように、そして記憶に残るように、簡潔で分かりやすい言葉や絵やグラフなどの視覚に訴えるツールを使うことが勧められます。
紙芝居では、ひとつの物語は、多くても10枚程度の絵を使い、1枚の絵ごとのせりふ+語りは20秒以内でと言われています。アドリブを入れたり、観客とやり取りする時間は別としても、時間的な制約は意識せざるを得ないので、プレゼンテーションの究極のトレーニングになるわけです。
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