ナチュラル・ドッグ・プライド

サイズや外見で評価するのではなく、あるがままの生命として尊重する「ナチュラル・ドッグ・プライド」
儲けるための売り買いではなく、幸せにすることを優先する「フェア・トレード・マッチング・ショップ」
バックグラウンドにこだわることなく、どんなワンコも公平に受け入れる「ボーダーレス・エージェント」
ワンコの代わりに、受け入れ環境の整っている最適なご家族を探し出す「ワンコのしあわせエージェント」

ナチュラル・ドッグとは、あるがまま、生まれたままの姿をそのワンコの個性として尊重する呼び方です。
ナチュラル・テール
断尾をしない「ナチュラル・テール」が世界的なスタンダードになってきています。日本でも全ての犬種をナチュラル・テールにすることを提唱します。
ナチュラル・サイズ
「小さければ小さいほど価値がある」ということではなく、健康に育ったワンコのその子なりの自然なサイズを尊重します。
ナチュラル・ルックス
もって生まれたそのワンコのオンリーワンの魅力を尊重します。

ナチュラル・ドッグ・プライドは、ブリーダーやペットショップなどと同様の営利事業を行う「第一種動物取扱業者」として認可されています。
第一種動物取扱業者だから「保護活動」をしてはいけないと決められているわけではないので、老犬や障害犬を終身飼養するシェアハウス「ユニークドッグ アットホーム」も運営しています。
しかし、「保護犬」あるいは「保護団体」といった社会通念上の名称を使わずに、「ナチュラル・ドッグ」あるいは「ナチュラル・ドッグ・プライド」という呼び方をしています。

動物愛護管理法では、第二種動物取扱業の保護活動者は「非営利」とされているので、譲渡する際に受け取れる譲渡金には、フード代や電気・水道代、人件費などの費用を含めてはならないと規定されているのです。

第一種動物取扱業者は、ワンコを売買することが認められている営利事業者なので、ワンコを育てるのにかかった経費を含めることが、法的に認められています。
しかし、ワンコはモノではなく、かけがえのない家族となるひとつの命と捉えれば、ワンコそのものの金額に差はつけたくないと考えています。

ワンコの譲渡額は、次の三つの要素の合計額です。
(1)育成・管理費用 (2)獣医療関連費用 (3)うち来るご希望額(引き受け希望額) 
詳しい説明は、サイト内の譲渡条件に記載しておりますので、お読み下さい。

ワンコを迎える前に考えていただきたいこと
ネットでよく流れてくる動画があります。クリスマス・プレゼントの箱を開けると中からワンコが現れて、子どもが嬉し泣きするというものです。
もちろん、誰もが胸キュンするシーンではありますが、ワンコはサプライズ・プレゼントするものではありません
かわいいワンコを迎えることは、この上なく嬉しいものですが、そのワンコを育てていくのは、そう簡単なものではありません。
「こんなはずではなかった」と頭を抱えることになることだってあるからです。
ただ「かわいいワンコが欲しいから」ということで、衝動的にワンコを迎えるのではなく、まずはワンコが飼える環境が整っているのかを自問してみていただきたいのです。
そして、ネットで断片的な知識や情報を覗き見るのではなく、ワンコの育て方についてのノウハウを専門家が包括的にまとめている書籍を購入して、読んでおくことをお勧めします。

ワンコの申し込み前に読んでいただきたいこと(その1)
ワンコを飼うということは、生活にゆとりがあってこその「楽しい趣味」です。そのように申し上げると「上から目線」のように思われるかもしれませんが、「犬から目線」でのお願いとして捉えていただければと考えております。
生活のゆとりとは、次の4つのゆとりに分けられます。
(1)時間のゆとり
(2)お金のゆとり
(3)心のゆとり
(4)変化に対応するゆとり

「時間のゆとり」とは、犬の世話をする時間がたっぷりと取れるのかということです。フルタイムで働いているひとり暮らしの方、あるいはご夫婦共働きのご家庭で、日常的に8~9時間を犬だけで留守番させることになるということであれば、犬を飼うことは諦めていただきたいのです。長時間、ひとりぼっちで留守番をしなければならない環境は、子犬はもちろん、成犬にとっても大きなストレスになってしまうからです。
特に成長期の子犬の場合には、身体と共に脳も発達しますので、日々好ましい刺激を受ける必要があります。子犬の心を育てるためにも、いつもご家族の誰かが寄り添っていただけることが理想です。
「お金のゆとり」とは、申し上げるまでもなく、経済的な余裕があるかどうかです。ワンコを手に入れる際の金額には目が行きますが、現在は犬の寿命は15歳から20歳になっていますから、養っていくための費用や医療費などの生涯コストが数百万円になることも考えに入れておかなければなりません。
「変化に対応するゆとり」とは、人の生涯には上り坂、下り坂、まさかの坂がありますが、そんな変化があったとしても変わらずに愛犬を守っていくことができるかどうかです。

ワンコの申し込み前に読んでいただきたいこと(その2)
あなたが1歳以上の年齢の成犬を迎えるのではなく、子犬を選ぶのであれば、その子犬が成犬になった時のおおきさがどのくらいになるかを推測しなければなりません。
両親犬が分からない雑種の子犬の場合には、成犬になった時にどのくらいの大きさになるかを予測することはむずかしいと考えられます。
ペット可のマンションなどの集合住宅の場合には、ペット飼育細則で、成犬時の体重が10kgまでの小型犬と決められていることが多いので、雑種の子犬を迎えようとする際には、慎重に検討しなければなりません。なぜなら、将来、雑種の子犬が成犬になった時に、予想よりも大きく育って、10kgを大きく超過したとしたら、犬を手放すか、引っ越しを余儀なくされることもあり得るからです。
ペット飼育細則で、中型犬まで認められている場合でも、上層階の部屋に住んでいる場合には、廊下やエレベーターといった共用部分を利用する際には犬を抱っこしなければなりませんから、ご家族のだれでもが抱っこして運べる大きさの小型犬が勧められます。
マンションなどの集合住宅では、犬の鳴き声がトラブルの原因になるケースが多いので、よく吠える犬種や吠え声が大きい犬種は避けることをお勧めします。
アレルギー体質の家族がいるご家庭では、被毛が抜けにくい犬種を検討してみて下さい。もちろん、完全にペットアレルギーを避けることができるわけではありませんが、例えばトイプードルであれば、良い結果が期待できるかもしれません。事前に、トイプードルを飼っているお友だちのお宅でふれあい体験をさせてもらうことをお勧めします。
自己所有の一戸建てにお住まいの場合には、犬のサイズや鳴き声の選択条件はかなり緩やかなものになりますが、それでもお子さんやお母さんが散歩に連れていく時に、引きずられてしまうような力の強い大きな犬は避けた方が良いと考えています。一戸建てで、大型犬を飼う場合でも、外飼いではなく、室内飼いをすることは今や必須条件です。暑さ、寒さを凌げる快適な生活空間で暮らせるようにすること、それは同時に蚊が媒介するフィラリア症に罹患するリスクを減らすことにも役立ちます。

🍀ナチュラル・テールの考察
世界的には、断尾に反対する声が高まってきています。
ヨーロッパでは、「ペット動物に関する欧州協定」というものがあって、断尾は動物虐待なので、断尾しないことを勧めています。
イギリスでは、「動物福祉法2006」で、審美的な目的での断尾を禁じています。
また、王立の獣医師養成大学でも、倫理ガイダンスとして、医療目的ではない断尾はするべきではないとしています。
そもそも断尾は、狩猟犬や牧羊犬といった「使役犬」に対して行われていたものが、愛玩犬となっている現在まで、「習慣化」しているだけなのです。
日本では、JKC(ジャパンケネルクラブ)の人気犬種トップ30の中に入っているトイ・プードル、ミニチュア・シュナウザー、ヨークシャー・テリア、ウェルシュ・コーギー・ベンブローク、ジャックラッセル・テリア、ミニチュア・ピンシャーなどは、犬種標準(スタンダード)では、断尾(しっぽ切り)することになっています。
断尾している姿が当たり前になっている犬種では、断尾していない「ナチュラル・テール」の子犬は、商品価値が低くなってしまうので、ブリーダーとしては、現状では「断尾しない」という選択をすることはむずかしいのです。今後、断尾をしない「ナチュラル・テール」が当たり前のこととして広く認知されるようになれば、断尾をする必要はなくなるでしょう。

★狼爪(ろうそう)切除の考察
人間には、両手、両足にそれぞれ5本の指がありますが、犬には、前足、後ろ足のいずれにも、指は4本しかありません。
犬の祖先は、狼(オオカミ)ですが、進化の過程で、狼から分かれて、独自の進化を遂げたものが、犬という種族になりました。
狼のずっと前の祖先が、木登りをしていた頃は、木の枝をつかむために指が5本必要だったのですが、木から降りて、地上で暮らすようになってからはつかむ作業がなくなったので、使われなくなった親指は退化して、4本指になったのです。その親指の名残りが、今、「狼爪(ろうそう)」と呼ばれているものなのです。
全ての犬種には、生まれながらにして前足には狼爪があると言われますが、後ろ足に狼爪がある場合には、通常は生後3~4日で切除することが一般的で、子犬の狼爪は、骨が完全に形成されていないために、比較的簡単に切除できて、治りも早いとされています。
歩いたり、走ったりする時に、地面に接することがない狼爪を残しておくと、爪が伸びっぱなしになって、何かに引っかけた時に傷を負ってしまう可能性があるので、ケガ予防のために狼爪を切除することは、予防医療的な見地から、肯定的に捉えられている面もあります。
しかし、必ず狼爪を切除しなければならないというわけではなく、狼爪が残っていれば、それを切除するかしないかは、飼い主の判断に委ねるべきという意見もあります。
そして、切除するのであれば、獣医師が手術を行い、術後の手術痕の衛生管理もきちんと行われなければなりません。

★尾曲りについての考察
尾が長い犬種では、20個もの骨が連なって尻尾になっています。その連なりが真直ぐではなく、曲がってしまっているのが「尾曲り」です。「キック」という呼び方をされることもあります。
尾曲りになるのは、母犬の胎内にいる時に「尻尾が脱臼したから」とか、「胎仔が多くて、適切な姿勢がとれなかったから」などと言われますが、確かなことは分かりません。
ミニチュア・ダックスやウェスティに、尾曲りが多いと言われます。
尾曲りは、ショードッグとしての評価では「欠点」になりますが、健康に影響がでるようなものではありませんから、「ナチュラル・テール」に他なりません。

🍀ナチュラル・サイズの考察
例えば、プードルの正式なバラエティは、次の4種類で、それぞれには標準的なサイズ(体重、体高)があります。
           体重        体高
スタンダード  : 15~19kg  45~60cm
ミディアム   :  8~15kg  35~45cm
ミニチュア   :  5~ 8kg  28~35cm
トイ      :  3kg前後   24~28cm

「もっともっと小さく」を求める人間の飽くなき欲望が作り出したものが、「ティーカップに入るほど小さい」ことからそう呼ばれるようになった「ティーカップ・プードル」です。そして、更に小さい「マイクロ・ティーカップ・プードル」と呼ばれるような極小サイズのものまで作出されるようになっていて、「小さくてかわいい」子犬の価格は200~300万円にもなっているのです。しかし、ティーカップ・プードルは、「サイズの矮小化がもたらす遺伝性疾患の弊害が解決されていない」という理由で、プードルの正式なバラエティとしては認められていません。
           体重        体高
ティーカップ  :   ~2.7kg   ~23cm
マイクロ    :   ~1.5kg   ~20cm

サイズが小さいことで、短命、あるいは病弱と言われることがありますが、必ずしもそうではありません。
しかし、「小さければ小さいほど高く売れる」ことから、ブリーダーが子犬に対して、意図的に適切な栄養給餌を行わないと、子犬の骨や内臓がきちんと発達しないので、骨の発育不全による骨折が多くなる、あるいは体力的に脆弱なため病気になるリスクが高くなるといった可能性が指摘されています。また、小さいと神経質で繊細な気質になりやすいとも言われます。

「小さくてかわいい」子犬に心を動かされて、守ってあげたいという保護者意識、あるいは母性本能が喚起されるのは、人としては自然な心の動きですので、それを否定することはないと考えています。ですから、ティーカップ・プードルを迎えることも、あって然るべきと思います。どのようなバックグラウンドであっても、目の前に現れた子犬を家族として迎え入れて、その子の生涯を幸せにしていただければ、飼い主としての責任は十分に果たしていただけると思っています。

人が犬をかわいらしいと感じる理由としてあげられているのは、「ネオテニー」(幼形成熟)です。ネオテニーとは、成犬になっても子犬の時の外見的な特徴やしぐさを残しているということで、大人にならないネバーランドのピーターパンのようなものなので、「ピーターパン犬」と呼ばれることもあります。ネオテニーの特徴的な外観は、「丸みがある」「目が大きい」「太くて足が短い」「柔らかい」といったものです。

「小さくてかわいい」ことが、子犬が高値で売れる重要な要素になるので、ブリーダーは、「小さくてかわいい子犬」を作出しようとしますが、当てが外れて「大きい」あるいは「大きくなりそうな」子犬が生まれてくることもあります。

いわゆる「オーバー・サイズ」の子犬ですが、その子なりのしっかりした骨格と筋肉をもっていて、健康に育ってくれるのなら、それに勝るものはありません。それこそが、生まれもった、ありのままの「ナチュラル・サイズ」なのです。

人は、我が子ならば「大きく育て」と願うのに、こと子犬については「小さければ小さいほど良い」と思っています。散歩中にどなたかに「大きいトイプードルですね」と言われたら、「はい、健康優良児なので!」と笑い飛ばしてもらいたいのです。ナチュラル・サイズの大きさを自慢していただくことは、愛犬のプライドを守ってあげることになるでしょう。

🍀ナチュラル・ルックスの考察

純血種には、犬種標準(スタンダード)と呼ばれる基準が設けられていますが、売買される子犬には、その商品価値を計るための様々なチェック・ポイントがあります。
「外見が整っているか?」「かわいいか?」など、高い値段を付けられるかどうかを見定めるための主に見た目での評価とも言えるものです。
子犬は、均質な工業製品ではありませんから、それぞれ違っているのが当たり前です。
もちろん、オーソドックスな整った外見ではなくても、人を惹きつけるような個性的な特徴のある子犬が高い評価を得ることもあります。
違っていることは個性、産まれたまま、あるがままの姿がナチュラル・ルックスです。

★毛色についての考察

ジャパン・ケネル・クラブの見解からの抜粋

ジャパン・ケネル・クラブでは、犬種スタンダード(犬種標準)で認められていない毛色については、血統証明書を発行する場合、本犬の毛色の前に「×」印を印字しています。
犬種スタンダードで認められていない毛色の子犬が生まれた際に、実際と異なる毛色で登録されるようなことがあると正しいカラーブリーディングができなくなることから取っている措置です。
犬種スタンダードから逸脱した毛色について「珍しい」とか「レアカラー」といった誤った取り扱いが見受けられることから、これらの行為を抑制させる観点からの措置でもあります。
犬種スタンダードで認められていない毛色の犬は、展覧会において重大欠点となり、優良犬の普及という本会の目的からも望ましいことではありません。
正しい犬質の維持のために、該当犬を、牡・牝いずれかに用いた繁殖は慎重に取り扱うべき事項です。特に、該当犬同士の交配は避けるべきです。
なお、マール(及びダップル)同士の交配は避けてください。高い確率で致死や、難聴のような健康欠陥が生じるためです。

このように、毛色についての血統書上の記載の取り扱いで、純血種のスタンダードを守るための繁殖制限に言及しています。また、マールやダップルといった毛色をもつ雌雄の交配で、健康上の大きな障害をもった子犬が生まれてしまうことへの警鐘も鳴らされています。高値で売れる「レアカラー」の子犬を作出する目的で、ブリーダーが乱繁殖と呼ばれるようなブリーディングを行わないように歯止めをかけていると考えられます。

★ミスカラー
犬種のスタンダードで認められていない毛色は、ミスカラーと呼ばれています。部分的に入っているものだけではなく、全身の被毛がミスカラーとされるものもあります。
例えば、単色(ソリッド・カラー)が基本とされているプードルでは、白い被毛がワンポイントとして入っている場合、500円玉ぐらいまでの大きさであれば、血統書の毛色を証明する箇所に★マークが付けられて、ミスカラーがあることが明記されます。

🍀その他のチェックについての考察

★面ズレ
頭部の被毛の模様(顔柄)が、左右非対称だったり、片側しか入っていないような場合の呼び方です。

★リッジ
背中に逆毛(さかげ)が生えている状態を示す言葉です。
南アフリカ共和国が原産のローデシアン・リッジ・バックは、背中に逆毛がある犬種です。「リッジ・バック」とは、「逆立った背」という意味で、逆毛がある場合に、「リッジ」と呼ぶのは、そこから来ています。
毛を短く刈り込んだときに、わかることもあります。

★アイライン(目のふちどり)が黒くない
アイラインが黒くはっきりしていると目がパッチリとかわいく見えることから、好まれます。
逆に、アイラインがないことは欠点とされます。

★バイアイ(眼の色がブルー)
バイアイ=虹彩異色症(こうさいいしょくしょう)は、左右の眼で虹彩の色が異なる、あるいは、片方の瞳の虹彩の色が違うことを言います。
コリー、シェルティー、シベリアンハスキー、ボーダーコリー、ダルメシアン、 コーギーなどに多いとされています。

★鼻色素
鼻の色が黒くならず、ピンク色をしているもので、「色素が弱い」と表現されることもあります。
ただし、被毛の色がチョコレートの犬種では、鼻の色は黒ではなく、チョコレート色が認められています。
雪鼻(ゆきばな)は、鼻の色は黒いが、一部が白くなっていることです。

★歯の嚙み合わせ(嚙み合わせのズレ)

●オーバーショット
下あごよりも上あごが長い状態(出っ歯)
5ミリオーバーまでなら、日常生活に支障はありません。それ以上になると食べこぼしが多くなったり、成長段階で犬歯が歯肉に突き刺さったりすることもあるそうです。

●アンダーショット
上あごよりも下あごが長い状態(受け口)
5ミリアンダーまでなら、日常生活に支障はありません。

●せったん(切端/レベルバイト)
上あごと下あごが同じ長さの状態。

好ましい咬み合わせは、上あごが下あごよりもちょっとだけ長く、上あごの切歯が下あごの切歯の前に来て、はさみのように咬み合う=シザーズバイトです。

ショータイプのトイプードルには、アンダーショットが多いと言われますが、マズルが詰まっているものが好まれるため、鼻がツンと上を向くので、下アゴが長くなる傾向が見られるからです。
愛玩タイプのトイプードルでは、マズルの被毛を伸ばしてベアにするのがかわいいということで、マズルが長くなる傾向があるので、アンダーショットにはなりにくくなっていると言われます。

★ペコ(モレラ)
大ペコ、中ペコ、小ペコ、ペコ・前頭、ペコ・後頭、ペコ・側頭
頭蓋骨の合わせ目に隙間がある状態。頭頂部の「泉門(せんもん)」と呼ばれる部分をさわると、穴が開いているように感じます。
大ペコは、頭をぶつけると脳震とうをおこしたりする、あるいは水頭症になりやすいということで、敬遠されます。水頭症は、チワワ、ヨークシャー・テリア、トイ・プードルなどの小型犬種、ボストンテリア、ペキニーズなどの短頭種に多いと言われます。チワワの場合には、小ペコ、中ペコまでは、容認されています。

★デベ
「臍(さい)ヘルニアのことです。

★ヘルニア
「鼠径(そけい)ヘルニア」のことで、後ろ足の付け根のすきまから腸や膀胱が皮下に飛び出ている状態を言います。
腸閉塞の原因になったり、メス犬の場合には、出産時に脱腸を起こしやすいので、手術で開いているところを閉じる必要があります。

🍀ジェントル・ブリーディング・ネットワーク

★子犬の遺伝性疾患を阻止する繁殖の取り組み

キャバリア・キングチャールズ・スパニエルでは、原産国のイギリスを中心に僧帽弁閉鎖不全症にかかりにくい血統の犬を使っての選択交配を始めてから、徐々に若年での発症例が減少してきています。
大型犬に多い股関節形成不全も、繁殖段階でのコントロールにより、かなり減少してきました。
犬種の番人と言われる世界中の良心的で意識の高いブリーダーは、所有する犬たちに遺伝子検査を行ったり、遺伝病を出さない選択交配を心がけながら、遺伝性疾患のコントロールを行っています。

★遺伝子検査

胎仔が発育していく過程で、何らかの影響で異常が起こる疾患の総称である先天性疾患の中でも、遺伝子の異常で引き起こされる病気が、「遺伝病」です。
遺伝子の異常は、一定の確率で親から子に遺伝します。
クリア    =遺伝病の原因遺伝子がない
キャリア   =片親からの原因遺伝子を受け継ぐが、発症しない
アフェクテッド=両親からの原因遺伝子を受け継ぐので、発症する

優性遺伝病は、キャリアでも発症リスクがある(両親犬共にクリアでなければならない)
●原発性緑内障(失明のリスクがある) シーズー、コッカースパニエル、チワワ、柴犬
劣勢遺伝病は、キャリアでは発症しない
●進行性網膜萎縮症(PRA)(失明のリスクがある) トイプードル、ミニチュア・ダックスフンド、ミニチュア・シュナウザー
●変性性脊髄症(DM)(歩行困難、呼吸障害) ウェルシュ・コーギー・ベンブローク

🍀お母さん犬のしあわせ

動物愛護管理法の数値規制を遵守することによる良好な飼養環境の確保と繁殖の負担軽減
動物利用を認めることを前提とする牛や豚などの家畜の飼養環境に配慮した考え方「アニマルウェルフェア」の精神と欧米の犬に関する法令などを参考にした規制で、子犬の繁殖に従事する繁殖犬のメス犬(お母さん犬)を少しでも楽にするための規制です。

★寝床や休息場所となるケージは、日常的な動作がしやすい十分な広さがあること。
★ケージの床には、肉球が痛むおそれがある金網(網スノコ)を使ってはいけない。
★運動のための十分な運動スペースを用意して、一日3時間以上、自由に運動できるようにする。
★適切な室温、換気、湿度が保たれ、清潔に管理されていること、鳴き声による騒音を防止する。
★被毛が汚れている、毛玉で覆われている、爪が異常に伸びているなど、不適切な身体状態にしない。
★適切な飼養のために、繁殖犬15頭ごとに常勤の従業員をひとり雇わなければならない。
★繁殖犬の出産回数は6回まで、年齢は6歳までとする。
★帝王切開の場合には、獣医師の出生証明書と診断書を5年間、保管しなければならない。
★販売する子犬は、生後57日以上でなければならない。(8週齢規制)→ 子犬のしあわせ

★お母さん犬(繁殖卒業犬)の第二の犬生をしあわせにする

2019年にブリーダーの繁殖犬に対する飼養管理管理基準が強化されたことから、繁殖引退犬の頭数は、2022年3万頭、2023年6万頭、2024年6万頭、喫緊の3年間で15万頭になると予測されています。
その予測に対応するかのように、2020年には、相当な理由がない限り、保健所は業者からの犬・猫の引き取りを拒否できると定められました。
そして、その頃から「殺処分ゼロ」というキャッチフレーズをそこここで耳にするようになったのです。
人間のために、たくさんの子犬を産んでくれたお母さん犬たちの第二の犬生をしあわせにすることは、とても大切なことです。